御羽黒蜻蛉

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7月に入り、緑が一層色濃くなってきたのを感じます。当宿の庭の大杉苔も梅雨の雨などでたっぷり水分を吸収してとても鮮やかな濃緑色を魅せてくれます。

そんな庭を眺めていると、ヒラヒラと蝶のように舞う生き物がちらちらと現れます。
その正体はオハグロトンボ。毎年この時期になると庭に数匹現れますが、今年は庭を含めて大工事をしたので今年も舞ってくれるかと懸念していましたが、6月後半あたりから2匹飛んでいる姿を発見して、安堵しました。

オハグロトンボはその名の通り、羽が黒いトンボで所謂トンボのように旋回したりホバリングしたりせず、蝶のようにヒラヒラとゆっくり飛びます。
葉に停った時も写真の様に羽を閉じ、また時折リズミカルにふわっふわっと羽を開いたり閉じたり動かします。その動きが何とも優雅なんです。
雄(写真)は身体が金緑色に光沢し、羽の黒色とビッ!と直線に伸びた尾っぽが相まって、その姿はとても上品にも思えます。ちなみに雌はというと、全身黒褐色。生物の多くは雄の方が鮮やかな感じがしますが、これは人間とは真逆。

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オハグロトンボは流れの緩やかな水辺に近い陸地に生息します。警戒心がとても強く、近づくと結構な距離を置いても飛んで逃げてしまいますが、今回写真を撮るのにカメラを向けると、まるで撮ってくれと言わんばかりに向こうから近くに寄ってきてくれました。
オハグロトンボは餌として蚊など食べてくれるので人間にとって味方でもあります。非常に有り難い。
近年は環境の変化でやはりその数を減らしているようですので、こうして家で観られるのも珍しいかと思います。この時節、当宿でご宿泊された際は是非ともこの蝶の様な優雅なトンボをご覧になっていただきたいものです。